2015年6月12日金曜日

二一世紀にドラキュラがが死んだ




 ドラキュラが死んだ。九三歳だった。よくまあここまで長生きで来たものだ。きっとグリーンピースあたりが吸血鬼保護に乗り出したのに違いない。
Christopher Lee: a life in film - video report

 吸血鬼は死にやすい。
 日光を浴びれば灰になる。十字架を見たらやけどする。ニンニクが苦手、鏡に映らない、流れる水を飛び越えられない。おまけに処女の生き血でないと食事ができない。
 イタ飯食べつつシチリアあたりで海水浴とか、夢のまた夢だ。
 
 吸血鬼、すなわちドラキュラと名乗る脆弱な魔物が、なぜ今も人気を保ち、多くのエピゴーネンを生み、愛されつづけているのか。
 それは、多くの人の心の中に、ドラキュラの持つ「生きづらさ」に共感してしまう部分があるからだろう。
 人に恐怖を与えるのは得意なくせに、自己の快楽については不器用極まりない。そういう部分が「生きづらさ」の元になっているのだが、自分でわかっていても今さらやめられないのだ。
 そのくせ「伯爵」なもんだから、無駄にプライドが高い。そこがまた「生きづらさ」の共感を呼ぶ。
 もしドラキュラに会ったなら訊いてみたい。
「生きてて楽しい?」

 ドラキュラを演じたクリストファー・リーは、現実では「生きづらい」ということもなく、多くの有名人の友人と超有名な親戚(従兄弟が007のイアン・フレミング)を得て、ヘヴィメタ聞きながら人生を謳歌していたようだ。

R.I.P.


The Bloody Verdict of Verden (Instrumental)

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