2015年2月28日土曜日

【やっぱり出てきた読んでない人を騙そうとする雑誌への罵倒編】もしも西荻窪の古本屋がピケティの『21世紀の資本』(PIKETTY,T.-Capital in the Twenty-First Century)を読んだら

 たとえば、教師生活二五年の生活指導の先生がコンビニでついエロ本を立ち読みしていたところ、なぜかここいらにはいないはずの自分のクラスの女生徒が通りかかったとしたら……
 たとえば、スーパーヒーローショーが終って、ヒーロー役が楽屋で背中のジッパーをおろしてもらい、「暑いあつい」と汗を拭いているところへ、どこから潜り込んだのか小さな男の子が目を丸くしていたとしたら……
 たとえば、日本の文化と伝統を守り、清く正しく美しい国家を作らんと日々邁進している人たちが、女体盛りに舌鼓をうっているところへ、突撃となりの晩ご飯がやあやあと入り込んできたとしたら……
 たとえば、たとえば、たとえば……
 その時、この人たちは叫ぶだろう。
「見るな!見ちゃいけない!これは違う、違うんだ!」
 なにがどう「違う」んやねん、とつい大阪弁でつっこんでしまいたくなるわけだが、現在似たようなドタバタが書店の店頭で繰り広げられつつある。

 トマ・ピケティの著書がバカ売れしていることについて、いろいろとマズいと考える人たちが、なかったことにしようと必死なのだ。ああみっともない。あのねおっさん、わしゃ悲しいよ。

 まずこのニューズウィークなんだけど、「ぴ、ピケティなんか一過性のブームだよ、みんな見るな読むな気にするな!!」と騒いでいる。
 これ、困ったことに英語訳から日本語訳に重訳して、ぬれ手に粟でうはうは言ってる翻訳者まで寄稿してやがんだよね。何やってんだか。
 んで、後で特集の内容を知ったとやらで、空々しい言い訳のエントリーを書く始末。
『ニュースウィーク』:当事者意識のない無惨な特集。
 あんまり慌てたせいか、エントリータイトルがニュー「ス」ウィークになってる。英語の方読んだから日本語訳は知らないけど、大丈夫なのかな、この人。


 お次ぎはプレジデントのこれ。
 いやー、すごいねー、まさかこう来るとは、お釈迦様もピケティ様も予測できなかっただろうね。
 もうこのタイトルだけで、ほどけた脳髄が耳から漏れてきそうになるんだけど、とにかくピケティをただの流行もんとして「消化」してしまおう、という一生懸命さだけは伝わってくる。
 つまりr>gがずーーっと続くんだから、みんなでrの方に入ろうぜ!という、読んでるこっちの方が恥ずかしくなって、にっきょーそ!にっきょーそ!とわけのわからん呪文が口から垂れ流されてしまいそうだ。
 プレジデントって、社長でもないのに社長のフリをしたい人が戦国武将に己を重ねるために読む雑誌だと思ってたけど、ただの恥知らずのための読み物になっていたようだ。

…………ノーコメント。
 いや、一応ことわっておくと、ピケティの守護霊にきいたとかいうことではないようだ。
 ともかく幸福の○学としては、教祖が儲けて何が悪い!なわけだから、格差を問題とされちゃ困るんだろうね。知らんけど。
 てか、こういう表紙の写真って、本人に了解得てんのかしら。ちょっと気になる。

 こういうアホみたいなのにひっかかるのは、本も読まずに偉そうにしたい人たちだろうから、騙されても「自己責任」ってことにしてしまえるけど、問題は読んでてさらにだまくらかそうとする人たちだよねー。
 こないだの高橋洋一みたく、格差を所得格差「だけ」の問題にすりかえようとするのは、これからもちょくちょく出てくるだろうなあ、と思う。気をつけましょう。


 

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