2014年5月14日水曜日

『美味しんぼ』って漫画を参考にして料理しても美味しくならないのはなぜか

美味(おい)しんぼの料理本 
(ビッグコミックス スペシャル)

美味しんぼの料理本―Recipe (続)
 (BIG COMICS SPECIAL)
 

 というか、『美味しんぼ』に限らず、このテのバトル系の料理漫画はだいたいそう。食べらんなくはないけど、漫画の中で効果線たっぷりに大ゴマでときには涙にむせびながら感動するほどではない。まあ、真に受ける方がどうかしてんだろうけど。
 で、最近『美味しんぼ』の内容について、世間で何やらごたついているようだ。
 件の話については読んでないんでよく知らない。漏れ聞くところでは、鼻血が出たのが放射能のせいだとかなんとかかんとかいってんのがけしからんとかそんな感じ。鼻血と聞くと谷岡ヤスジ鼻血ブーが思い浮かぶ世代なんだが、そういうのとは関係ないんだよね。うん、わかってて言ってる。

 でまあ、例によって「科学的におかしい!」とか言う人たちがわいて出てきているみたいなんだけど、なんでこう進歩がないんだろうねえ。中山茂先生もお亡くなりになったというのに。
 中山茂氏はトーマス・クーンの『科学革命の構造』を翻訳して、日本にパラダイムという言葉を紹介した人だ。でもその後、このパラダイムは便利に使われすぎちゃって、本来の意味とずれた使い方をされてしまうことが多い。なので、本宅科学についてあれこれ書いたときも、なるべく使わないようにしてきた。だからこれからも使わないつもりなので、パラダイムの話はここでおしまい。

 繰り返しになるけど、科学は嘘を見抜けない。
 それは、科学にとって「真理」以外はみんな等価だから。なので、善悪正邪を量るのは、いわゆる「文系」の仕事になる。例えその判断を科学者がやっていたとしても、思考が「善悪正邪を量る」ところにきたら、それは「文系」の考え方になっている。
 だから、「科学」をたてにして善悪正邪を言い立てる人ってのは、いろいろと見失いがちになっちゃうんだよね。
 だってさ、元々の元は「少々鼻血がブーしたくらいで騒ぎたくなるような現状がおかしい」のであって、騒いでる人を糾弾してばかりいると、その「現状」を作り出した連中から目線がそれてしまう。だいたい原発さえ壊れなかったら、「鼻血が出た!放射能のせいだ!」という人がいても、風評被害なんか一ミリも起こらないんだから。
 科学ってのは、「間違い」を見つけたらそこで止まっちゃう。
 その先は「文系」の領域なんで、テリトリー外に出てもそれを振りかざすのはおかしなことになる。
 人種差別を学術的に正当化したがる人なんかも、そういう感じだよね。信じられないけど、今でもそういう人は結構いるみたい。
Academic racism has a K=N problem

 出来るだけ時事的な問題には触れないようにしてるんだけど、さすがにちょっと目障りな感じになってきたので、自分の脳みそを整理する意味もあってちょっくら書いてみた。
 だいたい「鼻血がどーした」とかいうのは、野田政権時に野党だった自民党が言い出したんだけど、当時はそんなに騒がなかったんだけどなー。へんなの。


 そんなわけで、結論としてレシピが一番役に立つのは、中年同性愛カップル漫画の『きのう何食べた?』だなと、かように考える次第であります。以上。


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