2015年2月15日日曜日

【やっぱり出てきた読まずに批判する人たち編】もしも西荻窪の古本屋がピケティの『21世紀の資本』(PIKETTY,T.-Capital in the Twenty-First Century)を読んだら

 今、一応ピケティブームとやらで、小さな街角の本屋ですら『21世紀の資本』が平積みになっててびっくりする。定価で六千円以上する本が一三万部とか、いやあ、日本もまだまだ捨てたもんじゃないね。よかったね、みすず書房。皮肉じゃなく、心からそう思う。



 で、こんだけ売れるってえと、やっかみというか、これまで「格差が拡大するのは悪いことじゃないよ!」と言い垂れてきた人々が、痴漢の常習犯が捕まったときみたいなことを言い出すわけだ。
 そういう亀の踊り(ジタバタすること)を見るのも楽しいんだが、問題は読んでないくせに読んだフリして、読んだことのない人たちをだまくらかそうとする連中だ。アメリカで出現した連中のことはすでにエントリーに書いたけど(こことかこことかここ)、日本にもやっぱり現れた。

ピケティ論争、いま必要なのは成長か、再分配か
http://seiji.yahoo.co.jp/article/1661/

 えーっと、もうタイトルからして間違ってるよね。ピケティはそんな二択を求めたりしていない。
 質問の導入もまたどうしようもない。
>経済成長が貧富の差を拡大させると指摘し、著書が世界的なベストセラーになっているピケティ氏の主張が、
現代思想 2015年1月臨時増刊号
◎ピケティ 『21世紀の資本』を読む
 -格差と貧困の新理論-
    だーかーらー、経済成長=貧富の差なんて一言も言ってねえっての。資本の増大が常に経済成長を上回ってるのが問題だ、って言ってんの。こいつ、ピケティ入門すら読んでないな。
 でも、今出回ってる入門書とか解説書って、筆者の勝手な思い込みがてんこもりになってるのばっかなんで、読まない方が良いと思うけどね。一番まともでわかりやすいのが、なんと現代思想の特集なんで、そっちを買った方がいい。
 そんでもって、煽り文句

>成長か再分配か、真っ二つ

 んなのは、てめえのケツだけで充分だよ。  
    結局こういう文句でもって、読んでないやつの脳みそに「ピケティって、経済成長を否定して再分配を主張する左翼なんだー」という間違った認識を植え付けようというわけである。
 
 前々から思ってたんだけど、このヤフーの「みんなの政治」って、ほとんど「政治ポルノ」というか「全自動前頭葉灰白質切除機能付き絵本」というか、自分で考えるってことをしないようにしむけてるよな。娘には絶対見せないように気をつけとこう。出会い系サイトより危険だ。バカになる、バカに。

 おそらくこういうのって、これからアメリカ以上に出回るんだろうなあ。
 あと、ピケティはアベノミクスについて「資産バブルを誘発している」と指摘してる。そして、アベノミクスを賛仰する方々は、その指摘についてだけ「耳がちくわになっている」という現状である。やれやれ。



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