2014年9月3日水曜日

観光客としてあまり優秀とはいえない人間の観光旅行

 観光が苦手だ。名所も名物も興味がない。行った先であまり大々的に移動したくない。名産品より地元の喫茶店でコーヒーを飲みたい。お土産屋より地元スーパーをのぞきたい。そんな観光客は、あまり歓迎されないように思うが、それはそれでしかたない。
調布飛行場のセスナ
昨日、伊豆大島へ行った。
 調布の飛行場から、文字通りひとっ飛びである。三十分とかからなかった。吉祥寺へバスで行くよりも早く着いた。
 


 今回の旅行の目標は三つ。
・セスナに乗ること
・海に足を浸すこと
・たいくつすること



小さな海水浴場
目標はすべて達成された。パーフェクト!!

懐かしい店構えの本屋
おまけに地元の本屋を見つけた。品揃えは最新の雑誌とマンガと文庫と、すっかり背の色あせた岩波新書と岩波文庫である。
 そこで谷川俊太郎の『トロムソコラージュ』を買った。
 店主らしき人がレモンイエローの書皮(書店でつけるカバーのこと)をかぶせてくれた。


 ホテルのシーツの上に本を投げると、そのまま出かけた。





ホテルの階段の絵



 ホテルは、バスタブで寝ていたらフタをされたような、そんな部屋だった。しかも男女は別室であるという。なんというモラリティ。
ホテルに戻ると、本はぴくりともせずに置かれてあった。
 ごろり寝転んでページをめくった。

谷川俊太郎の詩を読むのは何年ぶりになるだろう?
以下、飽きるまで詩を引用する。
…………
私は立ち止まらないよ
私は水たまりの絶えない路地を歩いていく
五百年前に造られた長い回廊を
読んでいる本のページの上を
居眠りしている自分自身を歩いていくよ
…………

私は立ち止まらないよ
でも戦車はね ひっそり佇んでいるのがいい
木陰でね少し錆びて
…………

一は始まりの数だと言うけれど
終わりの数でもあるんだよ
私は一なんだ
誰かは知らないがあなたも一だよ
だって宇宙そのものが一なんだから
球場に集まる何万人もほんとは一と数えていいのだ
だがね もしそこで誰かが自爆したら
死傷者をまとめて一とは数えられないね
名前が血を流すとき一は統計に呑みこまれる
一の私らをバラバラにするのはなんだ
なんだ 神田 パンダが 咬んだ
私は暇だ ダダ ダダ 大好き
…………
負けるものか私そっくりの人間どもになんか
あのね トロムソの街角のスーパーさん
あなたは阿佐ヶ谷駅前のスーパーくんの従姉妹ですかね
リンゴにバナナにキャベツにニンジン
パンにバターにジャムにミルクに脱臭剤
並んでいる物がそっくりです
…………

また見る
こともない
山が
遠ざかる 種田山頭火
という言葉を拾って細胞がミクロに変化して
I have to go now,
right now,
but don't know where.
…………

なお、定休日を利用したので店は一日も休まなかった。


トロムソコラージュ (新潮文庫)

0 件のコメント:

コメントを投稿