2014年6月27日金曜日

人生とは忘れ去ることなりPart.3

 Part.1はここ、Part.2はこちら

 なんか、「忘れられる権利」the right to be forgotten なんてもんがあるそうだ。
 といっても、インターネット上に限る概念で、現実世界には「慎重に適用を」ということらしい。だから、「あの時シュークリームを二つとも食ったことをいついつまでも憶えてんじゃねーよ!」みたいなのは、「権利」として行使できないとのこと。なるほど。

グーグル、「忘れられる権利」に対応--EUで検索結果の削除を開始





http://www.theguardian.com/technology/series/internet-privacy-the-right-to-be-forgotten

 つまりは、「娘のセーラー服を着てタヌキ踊りをする妻」の動画をついついYouTubeにアップしてしまい、それが意外にも世界中に拡散されてしまったとしても、グーグルに「恥じかしーから、なんとかしてー」と申請して認められると、いくら検索しても引っかからないようにしてくれたりしてくれなかったり「やっとくね♡」と言ってほったらかされたりするわけだ。微妙な書き方になってしまうのは、ネットを根城にする企業に「誠実さ」を求めるのは、正直な政治評論家を捜すのと同じくらい難しいように思うからだ。
 でもまあ、とりあえずはEUに限るみたいだけど。

 しかしこれって、日本には必要ないよね。
 人の噂も七十五日どころか、早いときは三日で忘れてんだから。おまけに過去のことをいつまでも憶えていたりすると、「執念深すぎてきもい」「前世はヘビ?」とか言われちゃうくらいだし。むしろ憶えておく方が大変だ。
 まあ、最近忘れたがりは日本人に限らないみたいだけど。
 
 パソコンにしろインターネットにしろ、「自分の代わりに記憶しておいてくれるもの」としてそれを使う人は、結局どんどん忘却していくようだ。
 むしろ、ネットの海からざくざくと獲物を捕まえ、出来るだけ自分の脳に情報を「肉化」する人の方が、ネットを更なる記憶装置として使いこなしているように思う。
 そんななかで「忘れられる」ことが「権利」となるなら、やがては愚者のツールとして使用するものしか残らなくなる、のではないだろうか。
 ま、こんなことは言われなくても分かってるだろうから、グーグルに何度も何度も申請したのにさっぱり埒が明かない、なんてことになるような予感がする、そんな梅雨の晴れ間なのだった。


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